四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

久々の後手四間飛車採用

 筆者の実戦より。一局目後手右玉でひどい目にあったので二局目の本局も四間飛車を採用したところ、対する先手にお決まり通りの居飛車穴熊に組まれて第1図。▲6八角型から4筋の歩を交換した直後に、こちらから△5五歩と反発したよくある形である。
 『四間飛車破り 【居飛車穴熊編】』P107ではここで▲5六歩と打ち、以下△4六歩▲5五歩△4七歩成▲4五歩…が本筋として紹介されている。違うのは振り飛車側が端を詰めている点で、なんとかそれが活きる展開になればと思っていたのだが、ここで予想外の一手が飛んできた。

第1図  第1図以下の指し手
 ▲3五歩 △4六歩 ▲3四歩 △4四角
 ▲2四飛 △2二歩 ▲4八歩 △6五歩
 ▲8六角 △6二飛 ▲3三歩成△同 角
 ▲3四飛 △6六歩 ▲6八金引△5六歩
 (第2図)

 ここで▲3五歩と取る手は△2四同角型なら有力だがこの場合は疑問。すかさず△4六歩と伸ばして、▲同銀なら△6六銀がある。▲2四飛△2二歩に▲4八歩と受けるようではおかしい。ここで△5六歩と迷ったが本譜は△6五歩。▲8六角の飛び出しにも△6二飛とかわす。
第2図
 以下▲3三歩成にも△同角が逆先になるのが居飛車の泣き所。△6六歩の取り込みにはまだしも▲7七金寄とよけるべきで、本譜は△5六歩と銀を殺してはさすがに振り飛車優勢であろう。第2図以下20手ほどで勝ち。

 最近角道を止めるノーマルな四間飛車はプロでも廃れている上に、相手が居飛車穴熊などの玉を固める戦法ばかりで少々嫌気がさしている。
 ところで第1図以下▲5六歩△4六歩▲5五歩△4七歩成▲4五歩に△5五角だとどうなるんでしょうね?
 

▲6九飛型の落とし穴

 最近別のゲームに夢中になって将棋のことを忘れています。本局もそんな中指した将棋から。
 先手筆者の四間飛車に対して後手は居飛車穴熊を採用、△4二角からの6筋の歩交換に対して▲7五歩△8四飛▲5五歩と反発する形の変化より第1図。部分的には定跡形だが、端を詰めているかわりに左美濃のままなのがこちらとしては不満なところ。△8六歩を▲同角と取ると△7五歩とされて確か悪くなるはず、と思ってここでは歩で取る一手と深く考えずに着手したのだが…。

第1図  第1図以下の指し手
 ▲8六同歩△5四歩 ▲6四歩 △5五歩
 ▲6三歩成△5四銀 ▲7三と △6五歩
 ▲7四と  △8一飛 ▲6四歩 (第2図)

 『四間飛車破り 【居飛車穴熊編】』P107~109に記されている通りの手順に進む。詳しい変化は同著を参考のこと。ただし△5四銀は意外な一手で、P110で居飛穴が不利になるとされている。▲7三とはそっぽのようだが、▲7四と~▲6四歩と大駒を押さえ込むのが振り飛車の狙い。これで指せると思っていたのだが…。第2図

  第2図以下の指し手
      △7八銀(図面略)

 『四間飛車破り 【居飛車穴熊編】』P110では▲6八飛型(四間飛車が後手なので△4二飛型)なのでこの銀打ちをうっかりしていた。以下▲5九飛と逃げるも、△6七銀成とされて角が逃げれば押さえ込んだはずの飛車に走られてしまう。仕方なく▲6三歩成以下攻め合うも、大差の一手違いにするのが精一杯であった。

 振り返ってみると△4二角の直前の△9五歩が深謀遠慮の一手で、こちらが▲2七銀だと△4二銀から松尾流穴熊を許してしまう。とはいえ銀冠に組もうとした瞬間いつでもこの銀引きはあるわけであって、改めて穴熊の脅威を感じた一局。

清水上アマ、ついに予選突破

 前日行なわれた第3回朝日杯将棋オープン戦の清水上アマ-松本六段戦より。先手となった清水上アマの中飛車に対して後手は角道を空けないまま速攻を仕掛け、局面は第1図を迎える。ここでは後手優勢かとの声が高かったそうなのだが……。

第1図
  第1図以下の指し手
 ▲7六金 △4八銀 ▲6六金 △5九銀成
 ▲同 金 △8六飛 ▲6七金引△7九飛
 ▲6九金引△9九飛成▲5三歩 (第2図)

 持ち駒の金を投資して角を殺したのが実戦的な一着。以下△4八銀で飛車は取られるものの、駒損を回復することができた。△8六飛に▲6七金引、△7九飛にも▲6九金引と引いて先手玉は遠い。△9九飛成と香車を拾ったものの、▲5三歩と嫌味な歩を垂らして第2図。

第2図 ここで△5六香が最終的な敗着ではないかと思うのだが、読者の皆さんはどうお考えだろうか。▲4九金と寄られてあまり効果的ではない上に、5三の歩がなくなればいつでも▲5七歩で取られてしまう(実際に▲5二歩成がのちに実現した)。以下△8七歩▲8九歩の局面は「すでに後手容易な局面ではないか」と速報で語られている。以下たったの5手で先手勝ちとなってしまった。

 これで清水上氏はアマとして初の予選突破を達成。すばらしい偉業であると思う。面識の多少ある(mixi上でもマイミクになって頂いた)筆者としても嬉しい。

内容もサイズも重厚な一冊

 このブログを何度もご覧になっている皆さんはお分かりかと思うが、筆者は終盤力にやや欠けているきらいがある。
 受け潰す方向に持っていけば自分のペースなのだが、攻め合いになるととたんに自信がなくなる。ましてや一手勝ちみたいな展開にはとことん向いていない。
 そんな筆者も少しは終盤力をつけようと思い、何かよい本はないかと思ったところぴったりの一冊が見つかった。『プロの手筋 詰めと必死(受けなし)400―プロの実戦から学ぶ寄せの手筋400題』である。
 出版社は木本書店。なじみの薄い読者の方もおられるだろうが、『四間飛車のバイブル』『相振り飛車の正体』などの「正体」シリーズ(いずれもプロの実戦集)など、数年に一冊ペースで棋書を発行している。
 さて本著だが、タイトル通りプロの実戦で実際にあらわれた局面から、即詰みの手順と必死をかける局面が合計で400題出題されている。まだ筆者は20問ほどしか解いていないが、とにかく難解で読み応えのある一冊である。
 値段は2940円とやや高めだが、ハードカバーで従来の棋書よりも若干サイズが大きめなのと、ページ数が400を超えることを考えれば妥当なところではないだろうか。それになにより問題図の下にチャックシートが用意されており、自力で正解手順を見つけられたかどうかをチェックできるなどの配慮もなされている。即詰み手順の変化もできる限り詳しく書かれており、非常に勉強になる。
 このブログの内容についていって下さっている方々は有段者クラスだと思われるので、終盤力を鍛えるにはうってつけの一冊である。なかなか普通の書店にはおいてないと思われるので、この機会にぜひご購入頂きたい。

二十世紀の銀損定跡

 後手番だが相手(五段)が右四間飛車の構えを早々に見せてきたため、四間飛車で対抗して迎えた第1図。振り飛車側としては銀冠に組めていないのが不満である。△6五歩、そして図の△1四歩(完全な手待ちだが、代わる手も難しい)が無駄な手になってしまったか。ここから戦いがはじまる。

第1図  第1図以下の指し手
 ▲4五歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 歩
 ▲3三銀 △同 桂 ▲同桂成 △6二飛
 ▲4五飛 △4四歩 ▲2五飛 (第2図)

 ▲4五歩は定番の仕掛け。△同歩と取るのは▲1一角成で△6五桂と飛べないためおそらく不利。よって銀交換は必然となる。▲3三銀のところではやはり単に▲1一角成の方が嫌だった。本譜は振り飛車の右桂が銀と交換になるなら歓迎だが、△6二飛で飛車が隠居するのがつらい。▲4五飛△4四歩は飛車角どちらでも取れないので▲2五飛は当然の一手である。第2図

  第2図以下の指し手
        △3三角 ▲2三飛成△5一角
 ▲4四角 △8三桂 ▲8八玉 △7五歩
 ▲同 歩 △同 桂 ▲7六銀 (第3図)

 もし1筋を突いていなければ△1四銀と露骨に飛車を殺す手がある。『窪田流四間飛車〈2〉撃退!右四間』P52に類似形で先後逆にして載っており、以下微差で振り飛車優勢と結論づけられている。しかしこの場合は△3三角と取るよりない。▲2三飛成に△3二銀▲3四竜△4二桂▲3五竜△3四銀は指す気になれない。第3図
 ▲4四角と出られた局面は振り飛車が銀得だが、大駒の働きが違いすぎて居飛車有利が二十世紀からの定説である。以下悪あがきをするも、冷静に対処されて第3図。後続手段はあるのか?

  第3図以下の指し手
        △7四金 ▲5三角成△6四銀
 ▲4四馬 △6六歩 ▲同 馬 △6五銀打
 ▲同 銀 △同 銀 ▲4四馬 △7六銀
 (第4図)

 △7四金と守備駒を攻めに使うのが勝負手。第4図▲5三角成を許すのは仕方ないが、そこで△6四銀と厚みを加える。▲6二馬△同角ならもちろん大歓迎だが、さすがにそうは進まず▲4四馬。しかし△6六歩に▲同馬がおそらく疑問手。▲同歩が優っただろう。△6五銀打で手ごたえを感じた。銀交換後△7六銀とすりこんで形勢逆転を意識しはじめる。

  第4図以下の指し手
 ▲6六桂 △8七銀打▲7九玉 △6四飛
 ▲7四桂 △同 飛 ▲6六馬 △7八銀成
 ▲同 玉 (第5図)

第5図 ▲6六桂のところでは▲7九桂を主に読んでいたが、△8七銀打▲7九玉の交換を入れてから△6四飛と先手を取るのが気持ちのいい飛車浮き。金は取られるものの馬取りは残り先手を取ることができた。▲6六馬に△7八銀成▲同玉と金をはがして第5図。
 ここで△6七桂成が攻め急ぎすぎの悪手で、以下▲同金△8七金▲6八玉△6七銀成に▲同玉が好手で攻めが息切れしてしまった。馬が強力かつ上部が開けており居飛車玉は捕まえにくい。以下十手ほどで時間切れ負け。
 対右四間飛車は過去嫌になるほど指したが、例によって定跡をだいぶ忘れていた。振り飛車は銀冠に組めば充分戦えると個人的には思う。
前のページ 次のページ