
第1図以下の指し手
▲2七銀 △6二飛 ▲5七銀 △6四歩
▲同 歩 △同 銀 ▲3八金 (第2図)
▲5七銀と引いて居飛車の攻めに備える手も考えられるところだが、櫛田六段は銀冠を目指した。

第2図以下の指し手
△5五歩 ▲6五歩 △同 銀
▲5五角 △7三桂 ▲4四角 △6四飛
▲5五角 △6一飛 ▲1五歩 (第3図)

第3図以下の指し手
△5四歩 ▲4四角 △4一飛
▲4五歩 △1五歩 ▲1三歩 △同 香
▲2五桂 (第4図)

第4図から△4三歩と指すわけにもいかず、佐藤棋聖は△1二玉と穴から這い出しての顔面受けを見せるがこれではあまりにもつらい。以下も櫛田六段の指し手は冴え、終わってみれば銀冠が手つかずのまま完勝。対照的に後手の穴熊は崩壊して見る影もなかった。
かつて世紀末四間飛車で名を馳せた櫛田六段。若くして自らフリークラスに転出したものの、新世紀となった現在では各棋戦でも活躍を見せ、棋譜を並べてみても質の高い将棋が多い。四間飛車の採用率も昔と変わらず高く、個人的には注目している棋士の一人である。
一方、今をときめく佐藤棋聖としては早指し将棋ということを差し引いても不出来な拙戦と言わざるを得ない。第2図で無難な△4三金を選ばず、△5五歩と突っかけたあたりはいかにも康光流といった印象だが、この場合は裏目に出たか。
先手番では▲6六銀型を採用する筆者としては、実戦に現われそうな形だけに非常に参考になった一番であった。
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