四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

島八段、対四間飛車を制して片目を開ける

 9月2日に行なわれたB級1組順位戦の島-野月戦が四間飛車の将棋となったので取り上げる。野月七段は後手番で時おり振り飛車も指すが、順位戦の大事な舞台で採用してきた。対する島八段は最近NHK杯・竜王戦と立て続けに四間飛車相手に敗北を喫している。順位戦の苦しい星勘定を鑑みてもここは負けられない。
第1図 第1図から後手の駒組みが注目されたが、△5四歩▲7八金△5二飛▲6八角△9五歩▲3六歩△5一角▲4六銀△8二玉▲3五歩△4五歩と進行した。
 当ブログでも紹介した二月ほど前の千葉-島戦(NHK杯)でも千葉五段が中飛車に組み替える手法を見せたが、その将棋は美濃囲いの端を省略して素早く駒組みを進めている。また先後の差もあり、5筋から振り飛車が仕掛ける将棋とはならずに本局は居飛車から▲4六銀~▲3五歩と動いた。後手も△4五歩と常套手段で反撃し、さらに十手ほど進んで第2図となる。
第2図 銀交換となったが振り飛車側も軽い形で不満はなさそう。ここからどう戦うべきか。

  第2図以下の指し手
       △3三角 ▲3七桂 △6五歩
 ▲4五桂 △6六歩 ▲7七金寄△4二角
 ▲6六金 (第3図)

 △3三角は一瞬ハっとさせる一手。▲4三銀には△3五飛▲同歩△6五歩と切り返すのだろう。それは相手の術中にはまると見て先手も▲3七桂と活用、以下△6五歩▲4五桂△6六歩と互いに我が道を行く。
第3図 本譜は▲7七金寄と自重したが、▲3三桂成の攻め合いはどうか。以下△6七歩成は▲3四成桂△7八と▲同飛で切れ筋だろう。3五の角が自陣にもよく利いている。よって▲3三桂成には△3五飛▲同歩△6七歩成▲同金の進行が予想されるが、駒得でも自玉が薄く、穴熊としては選びたくない変化だろうか。
 実戦は▲7七金寄△4二角に▲6六金と目障りな歩を払って第3図。△3五飛~△3九角の攻めは▲6八飛△5七銀▲6九飛で大丈夫だ。となれば後手にとって攻める場所は一つしかない。
第4図  第3図以下の指し手
       △9六歩 ▲同 歩 △9七歩
 ▲同 香 △9五歩 ▲同 歩 △3五飛
 ▲同 歩 △6四角打(第4図)

 ここで野月七段は端攻めを敢行した。香を吊り上げて△3五飛~△6四角打と端を睨みつつ飛車取りに打つ。先手困ったようだが…。

  第4図以下の指し手
 ▲9四歩 △8五桂 ▲9三歩成△同 香
 ▲同香成 △同 玉 ▲9八香 △8二玉
 ▲4一飛 △9四香 ▲9七歩 (第5図)
第5図
 飛車取りを無視して▲9四歩と突き出すのが、指されてみれば当然ながら力強い好手だ。この手があるとすれば、先の手順で△9五歩▲同歩を入れたのが指しすぎだったのではないか。
 後手も△8五桂とあくまで端を狙うが、▲9三歩成以下▲9八香と打ち直すのもうまい。一見すると△9七歩と打たれて後手を引くようだが、▲同桂と取って△同桂成▲同香に△8二玉のような手なら貴重な手番を握ることができる。また△9七角成▲同銀△同角成の攻めは先手にとって怖くなく、△9七同角成に▲8八金でしのげる。
第6図 △8二玉▲4一飛に△9四香は▲同香なら△9七歩で二枚角を切ることなく攻めを継続できるが、冷静に▲9七歩と打たれて第5図。実戦はここから△9六歩▲同歩△9七歩▲同桂△同桂成▲同香△同角成▲同銀△同角成と、結局9七の地点で清算する攻めを後手は余儀なくされた。
 これには▲8八金(第6図)で先手玉はすぐには寄らず、受けつつ▲9四桂を決め、再びしばらく受けてから▲8二角を決め…といった手順で最後は▲6一竜を決め手に先手制勝、島八段が今期初白星を挙げた。
 第1図に戻ってここから中飛車に組み直すのは有力ながら、本譜のように3筋から仕掛けられ、結局△3二飛と戻ることになっては後手が手損をしている計算となる。そうした損を気にせず「戦いの起きた筋に飛車を回れ」、相手の手に乗って指し回すのが振り飛車のセオリーと言ってしまえばそれまでだが、第2図では逆に居飛穴側に「動いてこい」と催促され、後手の動きに乗じて先手がうまく立ち回ったように思える。
 第4図の▲9四歩を実現させないためにも、△9五歩▲同歩の交換を入れず△3五飛~△6四角打はなかったのだろうか。最後に疑問提起をしておいて今回は締めとしたい。
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