四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

初代竜王の不可解な左美濃

第1図 7月14日に行なわれた竜王戦の本戦トーナメント、島-川上戦を今回は取り上げる。川上五段の四間飛車に対して、島八段はオーソドックスな左美濃を採用して第1図。
 定跡に詳しい方なら分かる通り、『藤井システム』P39に同一の局面が載っている(自画自賛になるが筆者は棋譜を見ただけで、藤井先生の著書と同じ形だと気づいた)。本での結論は居飛車の5八金の活用が難しく振り飛車の模様が良いというものだが、当然それは島先生も承知のはず。本戦の大事な一番に、何か用意の構想があると考えてしかるべきだが。
第2図  第1図以下の指し手
 ▲5七金 △5四歩 ▲3七桂 △4一飛
 ▲1六歩 △4二角 ▲2四歩 △同 角
 ▲8八玉 △4三飛 ▲6八角 △8五歩
 (第2図)

 ▲5七金~▲3七桂は4筋からの仕掛けを狙ったものか。しかし後手に△4一飛~△4二角と軽く構えられ効果は期待できない。2筋の突き捨てで△6四角は牽制したものの先手に有効な手がなく、満を持して△8五歩と仕掛けられ第2図。以下▲同歩△同桂▲2四飛と早々に飛車を切るようでは作戦失敗の感は否めない。
第3図 十数手進んで第3図、▲1一角成と香車を取った手に△8三銀と上がったところ。筆者の第一感は▲6四桂の筋に備えたというものだったが、むしろ▲8五銀~▲8四香のような筋を未然に防いだと見るべきか。いずれにせよ自陣をじっと引き締めるプロらしい好手であり、このような手を指せば負けないとしたものだ。

  第3図以下の指し手
 ▲3五歩 △5五歩 ▲3四歩 △5六歩
 ▲同 金 △6七歩 ▲7九角 △5三飛
 ▲5五歩 △5八歩 (第4図)
第4図 ▲3五歩以下先手は攻めの継続を図るがいかにも遅い。△6七歩とくさびを打ち込まれ、図の△5八歩がと金の遅早という格言通りの一着。これを見て負けを悟ったか島八段は一直線の手順を選んで形作りをしたため、事実上の決め手となった。

 総譜を見ても先手にチャンスらしいチャンスは無かったように思える。川上五段の会心譜であるとともに、左美濃という島八段の不可解な作戦選択が疑問を残した一局。週刊将棋に目を通さない不熱心な将棋ファンとしては、観戦記に掲載されることを期待したい。

 追記:せんすぶろぐ記事でも取り上げられていました。この将棋が居飛車党のせんすさんの視点からはどのように映るのかが分かり参考になります。
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