思わしい受けもなさそうな上に、この手は▲6二歩成△同玉▲5三銀以下の詰めろになっており(ただし対局中は気づいていない、というより読んでいない)、一見すると後手が大ピンチのようにも思えるが、こうした一直線の展開になれば勝てるのではないかと筆者は思っていた。

△2九飛成▲6八玉 △5九竜
▲6七玉 △6九竜 ▲6八金 △7八銀
▲5六玉 △4四桂 ▲4五玉 △3六馬
▲3四玉 △6八竜 (第2図)
飛車を成って竜を作り、闇雲に王手をかけているだけのようだが、△6九竜に対する先手の応対が難しい。歩合いは二歩で打てず、▲6八銀と投入すればひとまず安全だが、それには△5三金と逃げる予定だった(持ち駒が歩だけになるため先手の攻めが細い)。▲5六玉と逃げる手には△4四桂~△3六馬から6三の歩を抜く筋がある。

本譜の▲6八金には△7八銀が当然ながら厳しい。▲7七玉は△6五桂以下即詰みがある。▲5六玉にはやはり△4四桂~△3六馬と追撃の王手をかけながら馬を自陣に利かせて、△6八竜と金を拾った第2図では馬と竜が受けによく働いており、後手玉に寄せはないだろう。
第2図以下は▲6二歩成△同竜▲7二金打~と進み、7二の地点で清算が行なわれたが、その結果飛車・角・銀の持ち駒だけではやはり先手は戦力不足。▲5四角~▲2一角成と根元の桂馬を取って入玉に望みを託すも、30秒将棋の中△4二金と置いた手が我ながら冷静で、最後は先手玉を押し戻す形で即詰みに討ち取り、初陣を勝利で飾ることができた。
第1図からの手順は全て読みきっていたわけではないが(特に△6五桂以下の即詰みのあたりは怪しい)、「こう進めば勝てる」と読んでいた筋が実際に勝ち筋へとつながっており、心地よい疲労感の中にも「往年の力や勘はそれほど衰えていない」という確かな手ごたえを筆者は感じていた。
それが大きな勘違いであったことを、2日目以降に負けが込んで身に染みて思い知ることになるのだが、それはさておき次回も社団戦初日の将棋を振り返っていく予定である。
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