ほとんどが後手4一金型の解説がなされている。個人的には舟囲いは4二金直と上がらない方が固いと思っているので、筆者はぎりぎりまで▲6七銀を保留して△4二金直を待つ。
内容の方は第1章、8筋突き捨て型対振り飛車が単に▲6五歩の激しい戦いにかなりのページ数が割かれている。『東大将棋』シリーズはやや居飛車びいきの感が強いのだが、本著では振り飛車が最善を尽くせば居飛車が難しいとなっている。しかし詰みまで研究されている変化と、それを巡る渋い攻防が濃密に描かれており、読んでいて頭がくらくらしてきた。筆者はとても指しこなせそうにない。
第2章は私好みの8筋突き捨て型対▲7四歩を打つ「新・鷺宮定跡」。9九香型でも互角に戦える、とのこと。ただし振り飛車の飛車は取られるのがネックか。
第3章は8筋突き捨て型対▲7三歩。これは△同飛と取り、9九香型がたたるようだ。ただし9八香型なら振り飛車有望そうだ。これは使える。覚えておこう。
第4章~6章は振り飛車・居飛車双方指す気が起きない手順なので省略。
第7章はいわゆる「亜急戦」(「準急戦」)。本著ではけっこう居飛車有望と書かれているが、他の定跡書と照らし合わせてみると疑問の残る点がいくつかある。これは明日以降ブログで詳しく取り上げる。
第8章は△4二金直と▲9八香の交換が入った筆者好みの形。簡単に触れられており居飛車不満となっているが、一箇所突っ込みどころがあるのでこれもブログで詳しく紹介する予定。
全体としては内容も充実しており楽しめた一冊。ノーマル四間飛車党にとってはおすすめである。個人的には是非次は7八銀型対7二飛の鷺宮定跡を上梓して欲しいものだ。
スポンサーサイト