9月16日の第4回戦の対小野八段戦でも手順こそ違えどまったくの同型となっており、その将棋は『四間飛車破り 【居飛車穴熊編】』

△3二金 ▲8八角 △7三角
▲2七銀 △4二銀 ▲3八金 △3一銀右
▲7七角 △8四角 ▲9八香 △7三角
(第2図)
△3二金は後手番の上に一手損する不思議な手で、控室の検討では「千日手も視野に入れた戦略かも」とのこと。振り飛車から動く筋はないと見て▲8八角と待機し、先手は銀冠に、後手は松尾流へと組み替える。さらにお互い角を動かすなど手待ちをして第2図。

▲6九飛 △8二飛 ▲6八飛 △6二飛
▲6六銀 △8四角 ▲5七銀 △7三角
▲6九飛 △8二飛 ▲6八飛 △6二飛
まで千日手(第3図)
同一局面が4回登場しあっけなく千日手が成立してしまった。先手としては不満な結果と思われるが、何か打開策はないのだろうか。
考えられるのは第1図以下△3二金に▲6六角だが、△同角▲同銀△8二飛▲7七銀の局面は先手から動きづらい。

さりとて6六の銀を5七に引かなければ今度こそ居飛車に△6四歩と仕掛けられるということもあり、第1図以前に先手が手を替える場所というのは見当たらない。第1図以降では先ほどの角ぶつけの筋くらいしか局面を動かす手はないように思える。
先後を入れ替えての指し直し局は畠山七段が制したものの、定跡形と言って差し支えのない形から戦いらしい戦いも起こらずに千日手になってしまうという、不可解な点の残る一局となった。いずれにせよNHK杯の深浦-川上戦なども含めて、四間飛車の△4四銀(▲6六銀)型対居飛車穴熊の▲2六角(△8四角)型がプロ間での流行形であり、また振り飛車にとって厄介な対策であることに間違いはなさそうである。
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