四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

△7二飛型を巡る駆け引き

 11月15日に行なわれたC級2組順位戦第7回戦でも四間飛車や対抗形、相振り飛車の将棋が多く個人的には非常に楽しむことができた。本日より何局かピックアップして紹介してみたい。まずは川上-西尾戦から。
 NHK杯の対清水女流三冠戦やつい先日の対深浦戦、あるいは竜王戦本戦の対島戦でも四間飛車を採用した川上六段だが、今回も筆者の期待通り飛車を6八に振った。対する西尾四段は急戦の構えを見せて第1図。ごくありふれた定跡形のようだが、ここからの手順は非常に興味深いものであった。

第1図  第1図以下の指し手
       △7二飛 ▲7八飛 △6四歩
 ▲3六歩 △4二金直▲4七金 △8二飛
 ▲5六歩 △6五歩 ▲6八飛 (第2図)

 ▲7八(△3二)銀型なら鷺宮定跡として有名だが、この形での△7二飛は珍しい。先手も▲7八飛と寄って備える。ここで△7五歩と仕掛けるのは▲同歩△同飛なら▲8八角、▲同歩に△6四銀は▲6五歩△7七角成▲同飛と角を交換して、△7五銀なら▲7六歩△8四銀▲6六角の両取りが決まり(参考1図)、また△5五銀なら▲7八飛と引いて△8八角を防げば良い。
参考1図
 本譜の後手は△6四歩で6筋からの仕掛けを狙い、▲3六歩に△4二金直と一手待つ。ここで先手が▲5六歩と突けば9筋の付き合いがある、手順が違い既に▲5六歩を突いてあった局面で▲3六歩と突いた、という二つの違いを除けば、8月30日に行なわれた今期C級2組順位戦第3回戦の藤倉-堀口弘戦と同じ形となる。
 その将棋は参考2図から居飛車が△6五歩と仕掛け、以下▲4七金△7五歩▲同歩△同飛▲5五歩△同角▲5六銀△7六歩▲8八角△6六角と進行、飛車角総交換の激しい変化となったが結果は後手が勝利を収めている。
参考2図
 川上-西尾戦に戻って本譜は▲5六歩ではなく▲4七金。5筋を突かないのがミソで後手の仕掛けを警戒している。すなわちここで△6五歩なら堂々▲同歩と取り、△7七角成▲同桂△8二飛に▲8八飛と回ることができる。△7九角の筋を消しているのが5筋不突きの効果だ。
 以上のような変化をふまえてか後手は△8二飛と戻し、▲5六歩にそこで△6五歩と仕掛けた。後手が一方的に二手損したようだが、7八飛型ではこの仕掛けに対応できないと見て先手も▲6八飛と寄り、結果的には手の損得なく△6五歩早仕掛けの将棋となった。
第2図
  第2図以下の指し手
       △7三桂 ▲3七桂 △6三銀
 ▲9八香 △9四歩 ▲9六歩 △8一飛
 ▲6九飛 (第3図)

 △7三桂▲3七桂とお互いに桂を跳ね、ここで△8六歩の仕掛けなら当ブログの定跡研究で取り上げたような手順が予想される。しかし実戦では△6三銀と上がり、二枚銀と呼ばれる形となった。
 以下手は進むが第3図の▲6九飛が真新しい。この形で飛車を引く手は見たことがない。
第3図 そもそも二枚銀戦法そのものが近年の定跡書には掲載されていない。例外は『東大将棋四間飛車道場 第四巻』くらいだが、同著にも▲6九飛(△4一飛)型は見当たらない。
 序盤の変化が長くなったため、第3図以降は翌日改めて取り上げたい。

 第1図のような局面から△7二飛と寄る手は仲間内で話題に上がった一手である。ある四間飛車党いわく「対策は5筋を突かないこと」。なるほど今回検討してみてその意味が分かった。△7九角の筋を防ぎ、△6五歩の仕掛けそのものを牽制しているのである。

 本局は結局後手が△8二飛と戻しての△6五歩早仕掛けとなったが、これなら振り飛車としても特に不満はない。△7二飛型を巡る駆け引きを見ることができ、まだ序盤の段階だが非常に参考になった一局。
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