四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

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▲2六角・3七桂型からの仕掛け

 11月13日に放送されたNHK杯トーナメント2回戦第15局の深浦-川上戦を早速検討してみたい。川上六段の四間飛車に対して深浦八段は居飛車穴熊を採用、角を2六に転換して非常にオーソドックスな形となり第1図を迎える。
 以前に当ブログで紹介した銀河戦決勝トーナメント二回戦の渡辺-櫛田戦と非常に良く似た局面となった。違いは振り飛車の香車が1二に上がったか1三か、その一点だけである。ちなみに図の△1三香に代えて△8五歩と指した実戦例もある(C級1組順位戦第2回戦の田中魁-石川戦)。
 渡辺-櫛田戦はここから▲2四歩△同歩▲3五歩と先手が攻勢に出たものの、どうやらやや無理気味というのが結論のようである(結果は渡辺竜王勝ち)。本局は深浦八段が違った筋で第1図から仕掛ける。

第1図  第1図以下の指し手
 ▲7五歩 △同 歩 ▲2四歩 △同 角
 ▲5三角成△同 金 ▲2四飛 △同 歩
 ▲3一角 (第2図)

 ▲7五歩から攻める筋は部分的に形は違うものの、『新・振り飛車党宣言!1』のP77に掲載されている手順と同じだ。途中▲2四歩に対して△同歩と取り、▲3五歩に△4三飛▲3四歩△4二角と辛抱する展開も考えられ、前述の田中魁-石川戦で現れている。
 本譜の△2四同角には角と飛車を次々に切り、▲3一角と打って第2図。
第2図 
  第2図以下の指し手
       △5二飛 ▲4五桂 △6三金
 ▲7四歩 △8五桂 ▲5三銀 △3二飛
 ▲6四銀成(第3図)

 ここで△4三飛と逃げる手が『新・振り飛車党宣言!1』P78では本筋とされている。以下▲2二角成△3三桂▲3二銀という手順が紹介されているが、この将棋では穴熊が▲7九金型のため同著のように△3八飛と打つ手が金取りの先手にならない(参考1図)。
参考1図 また△4三飛に▲3二銀△3三飛▲4二角成の時に、後手の香車が1三にいるため△1三飛と逃げる手がなく指しづらいのではないか、という行方七段の解説があった。以上二つの理由から確かに△4三飛は損に思えるが、結果的にはそれでもここに逃げるべきではなかったか。
 本譜は△5二飛に▲4五桂△6三金▲7四歩。これを△同金は▲5三角成で振り飛車不利というのが『新・振り飛車党宣言!1』の見解である。△8五桂と跳ねる手には▲5三銀が重いようでも好手。△3二飛に▲4二角成ではなく、▲6四銀成が巧みな後続手段だ。
第3図  第3図以下の指し手
       △6二金引▲5三角成△6三歩
 ▲7三歩成△同 金 ▲同成銀 △同 銀
 ▲5四馬 △7二飛 ▲5三桂成(第4図)

 第3図で△3一飛は▲6三成銀△同銀▲7三金で後手がまずい。△6二金引▲5三角成もやはり馬を取れず△6三歩と辛抱するしかない。
 7三の地点で清算してから▲5四馬と、3一にいた角を手順に好所へ移動することができた。以下△7二飛に▲5三桂成も実現し先手好調だが、ここで後手に鍛えの入った一着が出た。
第4図  第4図以下の指し手
       △5一飛 ▲8六歩 △6四銀打
 ▲8五歩 △5三銀 ▲6五馬 △7四角
 ▲8四歩 △6五角 ▲同 歩 △8四銀
 (第5図)

 △5一飛の自陣飛車が粘り強い一手で▲6三成桂を防いでいる。対する先手の▲8六歩も穴熊の急所を開けて怖いが、8五の桂馬を取りつつ玉頭に迫ろうという判断。以下手順は進み第5図、先手も盤上の攻め駒がなくなり、ここで一息つくと後手の逆襲を許してしまいそうだが…。
第5図  第5図以下の指し手
 ▲4六角 △7三角 ▲5五桂 △4五歩
 ▲2四角 △8七歩 ▲9七銀 △8五桂
 ▲8六銀 (第6図)

 ▲4六角の王手が厳しかった。合駒をするなら△7三角はこの一手だが、そこで▲5五桂がうまい組み合わせ。
 △4五歩は▲3七角や▲2八角なら▲6三桂成を防げる(先手の角を素抜く筋がある)という意味だが、今度は飛車取りに▲2四角とこちらに出る手があった。
第6図 以下後手の反撃に対して銀を避わして第6図。ここからも熱戦が展開され、途中で先手に変調かと思わせるような攻めが出たものの、最後は際どく余して深浦八段の勝利、三回戦へと駒を進めた。

 攻防ともに見ごたえのある好局であったが、仕掛け以降は常に居飛車がペースを握っている印象がある。個人的には第1図での△1三香(△1二香も同様)のような手待ちよりは、△6五歩と振り飛車から仕掛けてみたい気もするのだが…このあたりの変化は今後の研究課題としたい。
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コメント

毎日勉強させて頂いてます。
△1三香の手待ちに代わって、△6五歩なら以下、同歩同桂に▲6六銀なんですかね?

  • 2005/11/15(火) 14:58:57 |
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  • ツヨ #-
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私もこの放送は見てました。まさか1三香で潰されるとは思いませんでしたね。くわばらくわばら。この局面ではどうするべきなのでしょう?

  • 2005/11/15(火) 15:53:46 |
  • URL |
  • #-
  • [ 編集]

1三香のようなあまりメリットの無い手を指して無理気味にしかけられて潰れるんじゃ6五歩で仕掛けるしかないでしょうね。しかし熊らせるとどうも振り飛車に苦労が多い気がするんですが。

  • 2005/11/15(火) 21:35:41 |
  • URL |
  • 元藤井システム党 #-
  • [ 編集]

お三方ともコメントありがとうございます。本文中でも触れた通り、△1三香(△1二香)と手待ちして居飛車から仕掛けられるよりは、△6五歩と振り飛車から動き、以下▲同歩△同桂▲6六銀に△6四歩(△6四銀)のような展開にした方が良いのではないか、というのが筆者の見解です(この変化はいずれ定跡研究の場で改めて検討してみたいと思います)。
元藤井システム党さんのおっしゃる通り確かに穴熊に組ませると苦労は多いかもしれませんが、この手順の方がその苦労を少しは軽減できるのではないかと思います。本譜の仕掛けの成否はさておき、いかに受け身の棋風の筆者でも、ここまで一方的に攻められるのは勘弁してほしいという心境です。

  • 2005/11/16(水) 00:14:46 |
  • URL |
  • nusono #EbFvTiSQ
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昨譜のつづきです。^^

△6五桂▲6六銀△6四歩(△6四銀)となると、居飛車は次に△4六歩を受けなければなりませんね。▲4八飛は△6六角がありそうですし、受け方が難しいですね。
ところで、私は8対2くらいで居飛車党なんですが、居飛穴側からしてみると、やはり端に桂がきいてくる方が嫌なので、6五に跳ねてくる桂なら気持ちホッとしますが。(もちろん局面によりますが…)
振り飛車側としても玉側の桂は8五に跳ねて端を狙いたいところじゃないんですかね?^^

  • 2005/11/16(水) 11:54:45 |
  • URL |
  • ツヨ #-
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Re:昨譜のつづきです。^^

きちんとした形で研究できるかどうかは分かりませんが、△6四歩(△6四銀)以降の変化は後日改めて「定跡研究」の記事に掲載しようと思います。
確かに桂馬は端攻め狙いで8五に跳ねたいところではありますが、序中盤の変化の都合で6五に行くのも仕方ない、という感じですね。

  • 2005/11/16(水) 19:25:46 |
  • URL |
  • nusono #EbFvTiSQ
  • [ 編集]

はじめまして。
いつも拝見して勉強させていただいています。
この局面は私にとっても課題でしたので、nusonoさんご提案の△6五歩について師匠(元奨励会三段)にうかがったところ、「(△6五歩は取ってくれずに)▲7五歩~▲2四歩と仕掛けられて振り飛車自信なし」とのご意見でした。私の力では解説などできませんが、ご参考まで。

  • 2005/11/16(水) 21:24:41 |
  • URL |
  • へぼ四間党員 #5j3UbNXs
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こちらこそはじめまして。いつも当ブログをご覧頂きありがとうございます。
△6五歩を取らない手は考えにありませんでした。元奨励会三段の意見となると大変重みがあります…。
△8五歩と▲2九飛の交換はありますが、記事でも触れた田中魁-石川戦のように「▲7五歩△同歩▲2四歩を△同歩と取り、▲3五歩に△4三飛▲3四歩△4二角と我慢する変化」について、次に師匠にお会いする機会などありましたら見解などをうかがって頂けますでしょうか。厚かましいお願いですし、そちらの方で覚えていらっしゃったらで構いませんので。
個人的にはこの変化も含めて「自信なし」とおっしゃっているようにも思えるのですが…。いずれにせよ大変有益な情報を頂きありがとうございます。

  • 2005/11/17(木) 20:22:56 |
  • URL |
  • nusono #EbFvTiSQ
  • [ 編集]

△8五歩と▲2九飛の交換はありますが、記事でも触れた田中魁-石川戦のように「▲7五歩△同歩▲2四歩を△同歩と取り、▲3五歩に△4三飛▲3四歩△4二角と我慢する変化」について。

いつも勉強させていただいております。
私見ですが、田中魁-石川戦は△8五歩に▲2九飛と待った手が良くなくすぐに▲7五歩と仕掛け本譜のように進めば、△4二角に▲3五角として△3六歩
▲2四角△2三飛▲4二角成り△2八飛成り▲5三馬△同金に▲1七角が打てるので先手の手が続きそうに思うのですが、△8五歩の型なので先手の狙いの、桂を入手しての▲8六桂が打てません。しかし、同時に8四が傷にもなっているのでどうかということだと思います。



  • 2006/04/06(木) 19:28:01 |
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  • 暇人 #-
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▲2九飛と引く手は筆者もやや疑問に感じていました。振り飛車党の立場からすると、高美濃のままでの△8五歩は突きにくい感がありますが居飛車の立場からするとどう映るのでしょうか。気になるところではあります。
なお、手順中の▲3五角に対しては△3六歩ではなく△6二銀が有力なのではというのが筆者の最近の結論です。

  • 2006/04/06(木) 22:21:05 |
  • URL |
  • nusono #EbFvTiSQ
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85ページと124ページ

NHK杯の攻め筋って、「新振り飛車党宣言1」の77ページに載ってたんですね。なんだかショックです。まだまだ勉強が足りないということがわかりました。さて、話は変わってこの局面。 「新振り飛車党宣言1」と「四間飛車破り・持久戦編」に載ってます。が、見解が

  • 2005/11/15(火) 21:49:56 |
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