
第1図以下の指し手2
△7七飛成▲同 桂 △7六歩
▲同 銀 △7九飛 ▲8二飛 △7七飛成
▲6七銀 (第2図)
第1図で△7七飛成の変化は、▲8五銀に替えて▲6七銀と引いた場合に比べて居飛車の8五の歩がただで取られた勘定になり損と前回では書いた。

第2図と同一局面に進んだプロの実戦例は二局ある。順を追って解説していきたい。
第2図以下の指し手1
△7三桂 ▲6四歩 (第3図)

△7三桂と取られそうな桂馬を逃げる手はいかにも味が良い。久保-谷川戦(2002年9月27日・王将戦)で後手の谷川先生はこう指している。しかしそこで▲6四歩が好手。△同銀は▲6六角、△同歩は▲6三歩と垂らされるので取りづらい。実戦は第3図以下△7四竜▲6一角△4二金寄▲8三角成△6四竜▲7ニ飛成と進んで先手四間飛車勝ち。
しかし結論から言えば、もう一つの実戦例が▲8五銀の一手を打ち破ることになる。
第2図以下の指し手2

▲8一竜 △7五桂 (第4図)
これは千葉-西尾戦(2004年1月14日・竜王戦)の進行である。前回に続き居飛車側に西尾四段の名前が出てきた。単に△7九竜でも同じようだが、いったん▲8四飛成と竜をそっぽに追いやり相手の手を限定する意味がある。
▲8一竜に△7五桂と打って第4図。第2図で単に△7五桂もありそうだが、▲5六銀とぶつけられて銀交換になると先手の飛車が二段目にいるため▲5三銀の筋が常につきまとう。かと言って△4六銀では打った桂馬が空振り気味だ。

実戦で千葉四段(当時)は第4図で▲4五角と曲線的な変化を選んだがこれでは苦しい。△6七桂成▲同角△4六銀以下、最後は受け切りの形で後手の西尾四段が勝った。
第1図の▲8五銀は一瞬ハッとさせられる工夫した一手だが、歩を取られて損することにとらわれず普通に指せば居飛車有望のようである。この将棋以降▲8五銀と出る手は姿を消し、代わりに▲8三角と打つ手が注目されるようになった。次回からはその変化を調べてみたい。
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