四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

藤井システム→入玉大作戦

 9日に放送されたNHK杯トーナメントの久保-北浜戦より。藤井システムを見せる久保八段に対して、北浜七段は妥協せず居飛穴模様の駒組みを進めて迎えた第1図。ここで△4五歩なら大決戦が予想され、一気に形勢不明の終盤に突入することくらいはこの形を指さない筆者でも分かるが…。

第1図  第1図以下の指し手
       △8六歩 ▲同 歩 △4五歩
 ▲8八飛 △4六歩 ▲8五歩 △7七角成
 ▲同 桂 △5五歩 ▲6七銀 △8三歩
 ▲6八玉 (第2図)

 後手は8筋の突き捨てを入れてから△4五歩と工夫を凝らす。ダイレクトに△8六飛を許すわけにはいかないので、先手は▲8八飛と守った。珍しい展開のようだが矢倉-宮田敦戦(2003年11月28日・銀河戦)と同一の進行である。以下▲6七銀までは全く同じように進んだ。
第2図 ここで宮田五段は△3五歩と桂頭を攻めたが、本局の北浜七段は手堅く△8三歩と打つ。すぐに攻める手のない先手は▲6八玉と上がって第2図。この場合は美濃囲いに近づくよりも先手の勢力範囲内である左辺に玉を移動させたほうが安全なのは言うまでもない。相振り飛車で時おり見られる左玉の感覚で指していけばよさそうだ。

 手数は進んで第3図。次に△6六歩と△3四馬を絡めての攻めが厳しく、先手困ったようだがここで久保八段は巧みに玉を退避させる。
第3図  第3図以下の指し手
 ▲8五桂 △6六歩 ▲7八銀 △4七香
 ▲7七玉 △4八香成▲同 金 △3四馬
 ▲6四歩 △8六歩 ▲同 玉 △7八馬
 ▲7五玉 △8三歩 (第4図)

 ▲8五桂は筆者も見えていたが、竜の利きを消すのでどうかと思っていた手。しかし相手の持ち駒は歩と香しかなく、いきなり縛られるような危険はない。してみると第3図の△5四桂で△8六歩はあったかもしれない。▲同竜と取ればかなりの利かしである上に、本譜のような展開になった時に竜が逃げ道を塞いでいる。 
第4図 露骨な△4七香に▲7七玉で入玉開始である。△3四馬に▲6四歩は強気の一手で、△7八馬は▲同玉でも大丈夫と見たか。実戦は△8六歩だが、これなら手順に▲同玉と取って不満はない。
 後手も△8三歩と怪しげに打って第4図。なんとか入玉を阻止しようとするが…。

  第4図以下の指し手
 ▲6三歩成△8四銀 ▲同 馬 △同 歩
 ▲同 玉 △4四銀 ▲9一竜 △7六馬
 ▲9三玉 (第5図)
第5図 大駒を渡すと点数勝負になった場合に不安という心理があり、入玉している者としては△8三歩のような手は応対に迷うもの。しかし▲6三歩成とと金を作り、△8四銀以下馬を取られても手順に玉を敵陣にもぐりこませることができた。第5図となって先手は磐石、対する後手は入玉を目指してもうまくいきそうにない。ここに来て4八の金と3八の銀が燦然と輝いている。現時点では大駒三枚持っているが、4二の飛車は取られそうな状況だ。
 このあと五十手ほど費やしたものの、結果は先手の久保八段の勝ちとなった。
 本来は攻め、それも猛攻の戦法と称するにふさわしい藤井システム。しかしこの将棋はその本質とは全く異なる展開となっていった。第3図以下は最近文庫化された『入玉大作戦』にそのまま載っていてもおかしくない手順である。
 軽快なさばきを得意とする久保八段。玉をさばかせてもその本領を遺憾なく発揮する、といったところか。入玉下手の筆者としては勉強になった一局。
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コメント

初めまして!
ゼリーと申します。
昨日のNHK杯戦は見逃してしまったのですがこのサイトは将棋盤を使っていて丁寧に解説して頂いているのでとても参考になりました。

【入玉大作戦】が文庫化されるのですか?

学生時代に購入したのですが異色の将棋本だと記憶しています!笑。

また遊びに来ますね!(^^)

  • 2005/10/10(月) 05:54:20 |
  • URL |
  • ゼリー #-
  • [ 編集]

こちらこそ初めまして。
一介のアマチュアの解説でよろしければ、今後とも参考にして下さい。
『入玉大作戦』は既にMYCOM将棋文庫のラインナップに入っていますね。調べてみたら2年も前のことでした。

  • 2005/10/11(火) 10:55:47 |
  • URL |
  • nusono #EbFvTiSQ
  • [ 編集]

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