四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

先手と後手との微妙な違い

 既に半月ほど前の対局であるが、16日に行なわれたB級2組順位戦の畠山成-小野戦を取り上げる。畠山七段の先手四間飛車に小野八段は居飛車穴熊を採用、第1図の直前で振り飛車は▲6六銀型から▲5七銀と引いて相手の攻めに備えている。よくある形だが、ここで先手と後手との微妙な違いが浮き彫りとなる。

第1図  第1図以下の指し手
 ▲2六歩 △6四歩 ▲同 歩 △同 銀
 ▲6六角 (第2図)

 第1図から▲6六角とぶつける手も有力とされている。△7三角なら▲8八角△6四歩▲7七桂で振り飛車も指せることは以前に渡辺-櫛田戦の記事で紹介した。
 ▲6六角に△同角▲同銀と角交換に応じるのはどうか。以下△6四歩▲同歩△同銀なら▲7七銀、△8二飛にも▲7七銀と引いておいて居飛車からの打開は難しい。定跡書にも既出の手順である。
第2図 だが後手番ならさておき、本局は先手四間飛車である。振り飛車からの打開も難しく、千日手の可能性がつきまとう変化を選ぶのはつまらないと見て、畠山七段は▲2六歩を選択。△6四歩▲同歩△同銀にそこで▲6六角とぶつけた。

  第2図以下の指し手
       △7三角 ▲8八角 △6五歩
 ▲7七桂 △8四角 ▲8五桂 △5五歩
 (第3図)

 本譜の△7三角に代えて、△6六同角と取る変化もいくつかの定跡書に詳しい。
参考図 先手は二通りの取り方があるが、▲6六同銀は△6七歩と打たれ、▲4八飛にも△9三角が好打で居飛車よしという見解は一致している。
 そこで▲6六同飛と取る。居飛車も手が広い局面だが、①△8八角は▲6三歩△同飛▲5二角、またはいったん▲6九飛△9九角成に▲6三歩で振り飛車が指せそう。②△6五銀は▲6八飛△6六歩に▲7七桂(『新・振り飛車党宣伝!1』、あるいは▲6三歩(『東大将棋四間飛車道場 第十一巻』)でいずれもいい勝負。
 問題は『四間飛車破り【居飛車穴熊編】』推奨の③△6三歩だ。次の△8八角を防いで▲6八飛に△8二飛と回り居飛車よしと記されている。
参考2図 参考1図から▲8八飛なら△6七角があり、▲5八角△同角成▲同金と形を乱して△7五歩で居飛車ペース。ゆえに▲6六角(△4四角)とぶつけるなら6筋(4筋)の歩を居飛車が交換する前が優る、というのが渡辺竜王の結論だ。
 しかし参考1図で強く▲4五歩と突いて、△8六歩▲4四歩△4二金引(△同金は▲8六歩と手を戻しておいて△同飛に▲7七角を見せる)▲6一角が厳しい。3二金型の穴熊なら▲4三歩成の先手にはならないのだが…以下△3二金直▲3四角成△8七歩成▲6四飛△同歩▲4三銀と攻め立てて居飛車大変、が『東大将棋四間飛車道場 第十一巻』の見解(参考2図)。
第3図 長くなったが第2図で△6六同角の変化を見てきた。定跡書では後手四間飛車で▲2六歩(△8四歩)の一手が入っていないが、本局にも応用可能な手順ばかりである。
 本譜の△7三角にはこちらも▲8八角と引き、△6五歩に▲7七桂~▲8五桂とさばいて振り飛車も不満がない。後手は△5五歩と第二次攻撃態勢に移って第3図。

  第3図以下の指し手
 ▲5五同歩△3五歩 ▲同 歩 △7五歩
 ▲5六銀 △7六歩 (第4図)
第4図 ▲5五同歩に△3五歩は高美濃の弱点を突いて嫌味な歩。▲同歩に△7五歩とさらに戦線を拡大する。振り飛車はここで手抜いて▲5六銀と整え、△7六歩の取り込みに反撃を開始した。

  第4図以下の指し手
 ▲7四歩 △9五歩 ▲2五桂 △9六歩
 ▲7三歩成△同 桂 ▲同桂成 △同 銀
 ▲1四歩 (第5図)

 ▲7四歩が巧妙な垂れ歩。桂馬の入手を図るだけでなく、次に△7二飛と回られる手を緩和する意味もあり味が良い。
第5図 とはいえそこで△7五銀なら難しかったのではないか。次に△6六歩ではなく△6六銀と出られる手が重いながらも悩ましい。
 実戦の△9五歩には▲2五桂と跳ね、9筋を取り込まれた間に▲1四歩といよいよ端攻めを開始して第5図。持ち駒の桂で俗に言う「おかわり」が利くのが大きく振り飛車指せる展開と思う。後手は7三の銀に働きがないのが痛い。
 第5図以下居飛穴玉はみるみる薄くなり、攻め合いを制して先手が制勝。連敗スタートの畠山七段だったが、これで連勝とし星を五分に戻した。
 四間飛車対居飛車穴熊△8四角(▲2六角)型の定跡を再確認することができ、また先手番での微妙な綾も水面下で生じるという、筆者にとっては大変参考になった一局。それにつけてもやはり居飛穴には端攻めが有効打、ひいては決定打となることも再認識させられた。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://4kenbisya.blog11.fc2.com/tb.php/118-1efe974e
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。