四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

自著の内容に背いた竜王の駒組み

第1図 銀河戦決勝トーナメント二回戦、渡辺-櫛田戦より。以前の記事でも取り上げた通り櫛田六段は一回戦で佐藤康光棋聖を下しての本局、居飛車穴熊対△4四銀型の基本形とも言うべき局面となり第1図を迎える。

  第1図以下の指し手
       △5三銀 ▲3七桂 △1二香
 ▲2四歩 △同 歩 ▲3五歩 (第2図)

 △5三銀と引くのが定跡の一手。▲9六歩と△8四歩の交換は入っていないが、『四間飛車破り【居飛車穴熊編】』にも載っている形だ。
参考1図 対する▲3七桂は自著128Pでは「形を決めすぎている」として詳しく触れられていなかった手。▲7八飛と回るか、あるいは▲4八飛△4四角▲3七角△2二角▲4六歩△3三桂以下の順が詳しく紹介されている(参考1図)が、この変化に自信のない箇所でもあったか。前者の▲7八飛は△8四歩と既に突いてある形を活かされてつまらない、というのは筆者でも理解できるが。
 後手の△1二香では△6五歩と動く手が『東大将棋四間飛車道場 第十二巻』P127で触れられており形勢不明とのこと(7九金ではなく7八金型)。本譜は居飛車から▲2四歩~▲3五歩と仕掛けて第2図となった。
第2図 
  第2図以下の指し手
       △4三飛 ▲3四歩 △5一角
 ▲7五歩 △同 歩 ▲3五角 △3六歩
 ▲2四角 (第3図)

 第2図で△3五同歩は▲同角△3六歩に▲3四歩と打たれてまずい。一例を挙げれば以下△2二角には▲2四角(▲2四飛は△1三角が嫌味)△3七歩成▲4二角成(いったん▲2六飛も有力)△2八と▲5三馬(じっと▲4三馬もあるか)△同金▲2三飛△4四角▲7五歩くらいで振り飛車が勝てない展開だろう(参考2図)。
参考2図 固い攻めてる切れない、の典型的な居飛穴ペースであり、もはや駒の損得うんぬんの問題ではない。カッコ内にも記した通り、変化の余地も先手側に多い。
 本譜は△4三飛と軽い形で受けたが、▲3四歩と取り込むことができては先手に不満はない。△5一角に▲7五歩△同歩と味をつけておくのが手筋で、前述の変化にもある通りこの形での高美濃の急所だ。
 ▲3五角△3六歩に構わず▲2四角と出て第3図、振り飛車としては避けたい全面戦争が現実のものとなってしまったようだ。
第3図  第3図以下の指し手
       △3七歩成▲5一角成△2八と
 ▲6一馬 △同 銀 ▲7四歩 △同 金
 ▲3二角 (第4図)

 ここで△2三飛は▲5一角成△2八飛成▲6一馬△同金に▲4五桂がありとても指す気にはなれないのだろう。本譜もやはり▲5一角成~▲6一馬と穴熊らしく豪快に切り落とし、▲7四歩と手裏剣を飛ばすことのできるのが先程の突き捨ての効果だ。▲3二角と打った第4図は明らかに先手優勢、以下振り飛車は一手差にするのが精一杯であった。
第4図 本局は自らの著作内容にとらわれない渡辺竜王の新機軸が功を奏した形となった。筆者の棋力では本譜手順に対する振り飛車の修正案は見当たらず、△1二香に代えて△6五歩と『四間飛車道場』の手順を拝借するしか現時点では手段がなさそうである。
 対する櫛田六段、早指しの銀河戦とはいえタイトルホルダーをごぼう抜きとなれば話題となるところだったが残念な結果に終わった。とはいえ将棋の内容は対居飛穴最先端の形であり非常に参考になる。今後もより一層の活躍を期待したい。
 追記:居飛車が良かったわけではないらしい。渡辺明ブログ参照。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://4kenbisya.blog11.fc2.com/tb.php/108-2c8574e0