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四間飛車党の備忘録

四間飛車メインで振り飛車・相振り飛車・右玉なども含めあれやこれや綴っていきます。

後手右銀急戦、最新の攻防

 30日に行なわれたJT将棋日本シリーズの藤井-丸山戦より。藤井九段の四間飛車に対して、後手番の丸山九段は右銀急戦を採用、四ヶ月ほど前に当ブログで研究した通りの形となり第1図を迎える。ここで有力な指し手が三通りほど考えられるところだが…。

第1図  第1図以下の指し手
 ▲8三角 △7三飛 ▲6一角成△8八角
 (第2図)

 ▲8三角は最善と思われる角打ち。対して△8二飛と逃げる手も考えられるが、『新・振り飛車党宣言!1』の佐々木四段の講座では△7三飛が最有力という見解だ。
 ▲6一角成に△6六銀と出る手も同著で紹介されており、▲7四歩△同飛▲8五銀△7七飛成▲同桂で次に▲8二飛が厳しく先手良しとのこと。本譜は△8八角と打ってきた。
第2図  第2図以下の指し手
 ▲7四歩 △同 飛 ▲7五銀 △9四飛
 ▲6四歩 △同 歩 ▲9四馬 △同 歩
 (第3図)

 第2図では▲8五銀と出る手も有力で、遠山新四段(当時は三段)の将棋を題材に定跡研究で以前紹介した。
 本譜の▲7五銀△9四飛も『新・振り飛車党宣言!1』に紹介されている。本では単に▲9四同馬と取る手が紹介されていたが、先手が6筋の突き捨てを入れて未知の世界に突入した。
第3図  第3図以下の指し手
 ▲7一飛 △9三角 ▲8一飛成△7七角成
 ▲同 桂 △7五角 ▲7四角 (第4図)

 『新・振り飛車党宣言!1』では6筋の突き捨てがない形で▲7六飛△9九角成▲7七桂△7一香に▲8二飛で難解と述べられているが、この展開を不満とみたか▲7一飛と打った。△9三角以下銀を取られてまずいようだが、▲7四角が突き捨てを活かした急所の一手で次の▲5三桂が厳しい。5筋不突きのため利きが甘い後手の角との働きの差が顕著に表れている。
第4図  第4図以下の指し手
       △7三飛 ▲5二角成△同 金
 ▲8五桂 △7四飛 ▲6七桂 △4二金
 ▲9一竜 △6六角 (第5図)

 後手は△7三飛と自陣飛車を放つが、▲5二角成△同金に▲8五桂と跳ねて先手好調を思わせる。横に逃げる手はない(△5三飛なら露骨に▲4五桂△6三飛▲7四金でいいだろう)ので△7四飛だが、ここで▲8三竜はなかったか。△8四飛とぶつけられてお手伝いのようだが、この場合は▲7二竜の両取りで切り返すことができる。
第5図 △8四飛がダメなら逃げる手は△7一飛しかないが、▲7三桂成くらいで先手が良さそうだ。角桂交換の駒損だが玉形の差が段違いである。7一の飛車も攻撃目標にすることができそうだ。
 本譜の▲6七桂には両取り逃げるべからずの△4二金がしぶとく、この一手手で見るからに後手陣が引き締まった。▲7五桂△同飛と進めても駒損が回復するだけで後手の飛車が働き(△7一歩の底歩も利く)つまらないと見て▲9一竜だが、そこで△6六角と逃げられるようではやや変調である。

 とはいえこれで形勢を損ねたというほどではなかっようだ。結果的にはこの後、JT将棋日本シリーズの講評にもある通り後手に敗着が出て、藤井九段が決勝へと駒を進めた。
 先手四間飛車対後手右銀急戦における定跡形の攻防ということで興味津々の一局であったが、終始振り飛車ペースで進んだ印象を受ける。やはり居飛車の玉が薄く、総じて先手の勝ちやすい戦形と言えるだろう。
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