そんな中、世紀をまたいで『振り飛車党宣言!』シリーズが『新・振り飛車党宣言!』
前シリーズは発売当初に購入したわけではないものの、筆者も大いに参考にした記憶がある。もちろん最先端と銘打つ今回、定跡研究に掲載されているのは最新の変化ばかり。特に振り飛車党としては、先手四間飛車についての言及が多いのは嬉しい限りだ。
研究偏重ともいえる最近の風潮からすれば、全ての項目がこのまま研究に埋め尽くされてもおかしくはない。一昔前の定跡書のスタンダードといえば『羽生の頭脳』、振り飛車党の視点に立てば『スーパー四間飛車』シリーズあたりが相場であろうが、これらは定跡研究の後に必ずと言ってよいほど実戦解説にも少なからずページを割いていた。一方ここ数年はと言うと『東大将棋』、浅川書房の『最新将棋21』両シリーズを見ても分かる通り、丸々一冊すべて定跡研究という棋書が多数派を締めている。当ブログで以前紹介した『相振り革命3』も御多分に洩れず、である。
しかし『新・振り飛車党宣言!』
だがこれは、前シリーズの構成をそのまま継承したもの。自戦記や熱戦譜の掲載局数、次の一手の問題数まで変わっていない。研究のみならず、やはりプロの実戦を味わってこそ将棋は楽しく、そして上達する。最近の定跡書にはない構成が、そのことを改めて教えてくれるかのようだ。
熱戦譜の棋譜に解説がない(同じ見開き二ページという制限の中で解説付きの棋譜を載せている棋書は多数ある)、次の一手が熱戦譜からの出題となっており重複している、といった不満な点はあるものの、中身の詰まった良著であると思う。第二巻以降でどれだけ四間飛車を扱うかは不明だが、ひとまず購入してみることにしたい。
スポンサーサイト